自転車のオーダーフレーム。オススメしたいその理由。

クロモリフレームアップ 未分類

Photo credit: Phil Gradwell

自転車フレームのオーダー。敷居の高いモノだと思ってしまいますよね。

実際はそんなことはありません。むしろこれから初めてスポーツバイクに乗ってみたいという方にこそ検討すべき選択肢だと思います。

「自転車に全然詳しくないけれどオーダーしても大丈夫なのかな。」
「パーツ選択や値段など、相談できるのかな。」
「ぶっちゃけ、市販の自転車と何が違うの?」

初めてのことには色々分からない事だらけですよね。

この記事ではオーダーフレームの魅力をできるだけ分かりやすく解説していきます。
どうしても一歩を踏み出せなかった方へのワンステップになれば幸いです。

オーダーフレームの魅力とは?

サイクリング

オーダーフレームをオススメする理由。それはズバリ「乗り心地の良さ」です。

私自身が初めてオーダーフレームの完成車に乗って一漕ぎした時、「あれ?宙に浮いているのでは!?」と錯覚してしまうほど、その乗り心地の良さに感動しました。

身体に合わせて1mm刻みで採寸するオーダーフレーム。オンリーワンのそのフレームは、見た目の完成度だけでなく確実に体感できます。

オーダーフレーム自転車の魅力は、一般に売られている自転車と比較することで理解しやすくなります。

サイズ選定
フレームの素材
カラーバリエーション
パーツセレクト

大きな違い・特徴は上記の4点です。
ひとつひとつ比較しながら解説します。

身体にピッタリ合うサイズが重要!

自転車は身体と密接な関係があります。安全面・パフォーマンスを考慮すると、一人ひとり適切なサイズを選ぶ必要があります。

例えるならば、シューズのサイズ選びに近いです。

普段、26.0cmのシューズを履いているとします。少し大きな27.0cmのサイズを履くと違和感がありますね。紐をキツく結べばなんとか履けるかもしれません。しかし、カカトのズレが起きて靴ずれが起きる可能性がありますね。

反対に、少し小さい25.0cmのサイズだと、履くだけで一苦労です。紐を緩めてギリギリ入ったとしても、キツすぎて指先に炎症が起きてしまうかもしれません。

自転車のフレームも考え方は同じです。

サドルの高さやステム・ハンドルの長さで、ある程度のサイズ調整は可能です。しかし、ベースとなる「フレーム」は後から変えることができません。シューズと靴紐の関係に近いですよね。

最初にしっかり自分のサイズを選定することが肝になります。

市販されている自転車のサイズ展開

自転車販売
Photo credit: ubrayj02

一般的に売られているフレーム(自転車)は、サイズを選べるようになっています。
スポーツバイクだと20〜30mm間隔で、5サイズ程度の展開が一般的です。
サイズごとに「適正身長」を定めているケースが多く、身長に合わせてセレクトします。

事前に適正サイズに試乗してから購入できることがメリットですね。
数サイズの展開から選ばないといけない点がデメリットです。

オーダーフレームのサイズ展開

ハンドメイドバイシクル

Photo credit: Bombardier

フィッティングマシン(自転車用の身体測定器)で採寸したり、メジャーで細かく身体のサイジングを行います。
その数値をベースに1mm単位でサイズを決めていきます。

自分にとって最も適したサイズを得ることができる点がメリットです。

事前に試乗できない点がデメリットと言えます。

オーダーフレームで「クロモリ」が使用される理由

現在、スポーツ自転車フレームで使用される素材は下記の3つが主流です。

・カーボンフレーム
・アルミフレーム
・スチール(クロモリ)フレーム

その他、チタンやマグネシウム、竹を使ったフレームなども生産されています。
耐久性や価格など、素材によって様々です。

数ある素材の中で、オーダーフレームではスチール(クロモリ)を使用するケースがほとんどです。
それには理由があります。

各素材の特性と、クロモリがハンドメイドのオーダーフレームに向いている理由を解説します。

カーボンフレーム

カーボンフレーム

Photo credit: Glory Cycles

現在のスポーツバイクフレームで人気なのはカーボン素材です。
圧倒的な軽さと形状の自由さから、多くのレース志向ユーザーから支持を得ています。

カーボン=高価 というイメージは今でも拭えないのですが、カーボンフレームが誕生して40年以上が経過して研究・生産基盤が整ってきているので、随分お求めやすい価格になったことも根強い人気の背中を押しています。

デメリットを挙げるとしたら、金属フレームと比較して割れ易い素材であることです。打ちどころが悪いと、一回の転倒でフレームがダメになってしまうケースもあるようです。

製造工程は、「金型」と呼ばれる型を使用して作られることが一般的です。
量産には向いていますが、金型を1人1人に対して作ると膨大な金額がかかってしまうため、そのような製造は通常行いません。数個の金型を用いて、ある程度決められたサイズ展開で販売しています。

アルミフレーム

アルミフレーム

Photo credit: Richard Masoner / Cyclelicious

アルミフレームは、最もベーシックなフレーム素材と言っても過言ではありません。アルミフレームを扱っていないスポーツ自転車販売店は滅多にありません。それくらいメジャーな地位を獲得しています。

比較的安価で購入できて、比較的軽量。そして弾性が少ないことから生じる「ダイレクトに力が伝わる感」が人気のポイントになっています。各メーカーから多種のアルミ自転車が販売されています。

エントリーユーザー(初心者)に勧め易いことから、自転車屋さんなどで購入検討をされた方も多いのではないでしょうか?

デメリットを挙げると、固い素材の性質上、長距離乗車をした時に疲れが溜まりやすかったり、膝を痛めてしまうライダーが多いようです。

製造工程は「TIG溶接」という電気溶接工法で作られることが一般的です。
素材強度上、薄いパイプでフレームを作ることが難しいのがアルミの特徴。パイプが厚くなってしまう分、どうしても「固さ」がつきまとう素材と言えます。

スチール(クロモリ)フレーム

クロモリフレームアップ

Photo credit: Phil Gradwell

スチール(クロモリ)フレームは、昔から使用されている素材です。スポーツ自転車では、数あるスチール素材の中でも「クロームモリブデン鋼 通称:クロモリ」を使用しているものが多いです。粘りや強度があり、厚みが薄く細いパイプでも耐久性を保ちやすいことから選ばれています。

比較的低価格なフレームが多く、クラシックで洗練された見た目の良さから今もなお人気の素材です。

錆びてしまう欠点はありますが、適度なバネ性が原動力となり、人が動力となる乗り物の素材として非常に理にかなっていると言えます。

なぜ、ビルダーはクロモリを選ぶ?

クロモリパイプ

フレームビルダー(自転車フレーム製作者)の多くは現在もクロモリを素材で選び、お客様へ理想の自転車を提供しています。
なぜクロモリを選ぶのでしょうか。

オーダーフレームの存在を知ったばかりの頃は正直疑問でした。昔からの伝統であったり、設備的に選ばざるおえないのかな、と勝手に想像していました。
確かにそのような思想や事情もあるようですが、ビルダーさんとお話をさせてもらっている際にもっと深い理由がある事を教えて下さいました。

ークロモリの利点ー
パイプの種類が豊富
修理、修復がしやすい
「しなり」が身体に優しい

印象的だったのは上記の3点です。

パイプ次第で乗り味が変わる!

自転車用のクロモリパイプは現在も専門工場で生産されています。
日本では福島の「カイセイ」
イタリアの「コロンバス」
台湾の「タンゲ」
などが代表的なパイプメーカーです。

それぞれのメーカーが思考を凝らし、実践データを元にした素晴らしいパイプを作り続けています。
形状、太さ、厚さ、含有素材、焼き入れの有無など、それぞれ違いのある数多くのパイプがあります。

ビルダーさんたちはそのようなパイプのことを熟知しており、お客様の体型や乗り方、乗る環境に応じてパイプセレクトをしてくれます。
ビルダーさん曰く、厚さが0.1mm違うパイプを1本変えるだけでも乗り味が変わるそう。パイプ接合方法の違いでも変わるようです。

多種多様なパイプから生まれる無限の乗り心地。
これこそ、クロモリが選ばれる理由の一つと言えます。

ヘコんでも直せる安心感!

大事故で破壊的に壊れてしまうのを除けば、クロモリフレームは修復可能。パイプを取り替えて接合し直す事ができるのはクロモリの大きな利点と言えます。
スチール素材であれば破損箇所のある100年以上前の自転車でさえ修復して乗れてしまいます。

初心者にこそクロモリのオーダーフレーム!と思うポイントの1つが、この修復能力です。

ロードバイクなどのスポーツバイクに乗る際に、ビンディングペダル(靴とペダルを固定するタイプ)を使うケースがあります。
慣れない時にやってしまうのが「立ちゴケ」です。

立ちゴケとは、靴がペダルに付いていることを忘れて停車してしまい、地面に足を付けることができずに倒れてしまう事です。初心者はやってしまいがちです。私も経験があります。

この立ちゴケ、スピードが出ているわけではないので大きな怪我には繋がりにくいのですが、道路の縁石にフレームをぶつけてしまうケースがあります。

カーボンフレームで縁石にぶつけてお釈迦にしてしまった、という話を聞いたことがあります。悲しすぎますね。

クロモリフレームならば、万が一ヘコませてしまっても直せますので、初心者で乗り慣れていない方にオススメです。

しなりはクロモリの最大の武器

カーボンやアルミのフレームが市場を占領する中で、クロモリフレームが粘り強く人気の理由。それは、この素材特有の「しなり」が、万人の身体にフィットしやすい点が挙げられます。

「しなり」は自転車の能力を上げてくれるものだと考えます。具体的には2点です。

バネの力で馬力が上がる = スピード向上
バネの力で衝撃吸収 = 優しい乗り心地

競輪の公式フレームとして現在も使われ続けているクロモリフレーム。その研ぎ澄まされた姿はまるで刀のようだと表現されたりもしています。

また、ロングライド(長距離移動用)自転車としてもクロモリフレームは選ばれます。バネ性が身体に優しく、疲れにくい自転車として定評があるからです。

クロモリは鋭さと優しさを合わせ持った特殊な素材と言えます。

設計とパイプ選びで、色々な性格のフレームを生むことができるため、ビルダーさんに選ばれているわけですね。まさにオーダーに向いた素材、というわけです。

カラーでスピードが変わる!?塗装の魅力

オーダーフレームの醍醐味の一つ、それは「オリジナル塗装」です。
各メーカーからとてもカッコ良い配色のフレームが販売されていますが、自分で決めたカラーのフレームは格別です。軽い言葉になってしまいますが、要は相当テンションが上がります。

テンションって、、、と幻滅しないでください。大事なことですし、実践しているプロも多くいらっしゃいます。

競輪選手は配色でも勝負!

競輪選手で、毎回威嚇するようなド派手なカラーをオーダーされる方がいます。実際にお話を伺うと、願掛けでカラーをセレクトされているそう。勝負の世界で自身の実力以外の努力。カラーも影響しているのですね。

戦国時代の武具のようなカラー、迷彩色、ギラッギラのラメカラーなど、勝負の世界のフレームカラーを改めて見てみると、それだけで緊張感が伝わってきてしまいます。

水玉カラーは山男の証!?

白地に赤の水玉模様。このカラーリングを知っているあなたは「ツール・ド・フランス(フランスの自転車レース)」をご存知ということですね。

ロードバイクの伝統レースとしてポピュラーなツール・ド・フランス。日本では民放で放送されないのでなかなか見る機会が少ないのが現状ですが、フランスでは国の主力スポーツの1つとして大変人気です。このレースで勝利した自転車ブランドは、翌年のモデルが大人気となります。ロードバイクの流行を作っている最先端のレースと言っても過言ではありません。

そんなツール・ド・フランスでヒルクライム(勾配のある山岳地帯)で最もタイムが早くポイントを稼いだ1位の選手に与えられるのがマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ (maillot blanc à pois rouges) というレースジャージです。このジャージのカラーが「白地に赤の水玉模様」なのです。勝者が乗っていたモデルの自転車フレームは、翌年に特別モデルとして水玉模様を施したカラーで販売されたりもします。

また、総合優勝の選手にはマイヨ・ジョーヌ (maillot jaune)という黄色のジャージが勲章として渡されます。そして、マイヨ・ジョーヌカラーの自転車が発売されるわけです。

ロードバイクの世界では、カラーは「力」の勲章として存在しているのですね。

クロモリのオーダーフレームで人気のカラーは?

さて、自分でオーダーしたフレームのカラーリングはどうしましょうか?
ビルダーさんに人気のカラーを聞いてみました。その答えは 「人それぞれです。」とのこと。
強いて言えば、ビルダーさんのブランドカラーがあったりするので、その配色を希望されるお客様がいるそうです。

クロモリフレームは他素材と比べてカラーのバリエーションが多いのが特徴です。

その代表的な仕上げは「メッキ加工」です。

クロームメッキを施したカラーは艶やかで金属の緊張感が生まれます。また、塗装と組み合わせることで、クラシックで品のある仕上がりになるのが特徴です。古典的なカラーリングではありますが、「不変の美」として人気があります。

メッキ加工の上から透明色の塗装を施す「キャンディカラー」も金属フレームの長所を生かした美しいカラーです。
少し締まって見えるので、スリムなクロモリフレームがより一層シャープに見える効果があります。

パイプの中央部分を白くペイントする「胴抜きカラー」も昔から定番の配色です。
色にリズムが生まれて映えますし、ブランドマークが強調されて非常にかっこいいカラーリングです。

最近は「生地仕上げ」のクロモリフレームもよく見かけます。
生地とはクロモリそのままのカラーのこと。クリアカラー(透明)の塗装を直接吹きかけて、鉄の深みのある色をそのまま使う仕上げ方法です。ハンドメイドの接合箇所がよく見えるので、職人技が映える無骨な印象です。

これだ!というカラーを探し出すのもオーダーフレームの楽しみの1つ。

色の話を書いていたら、私自身が持っているフレームのカラーを変えたくなってきてしまいました。

パーツを1からセレクトできる価値

市販されている自転車は、メーカーがセレクトしたパーツが組み付けられた状態で販売されていることが一般的です。購入して、そのままの純正パーツで乗り続けるのも良いのですが、経験が増えていくとタイヤやギア、ホイールなどをグレードアップしてくることが多々あります。
「フレーム素材」や「車体カラー」だけでなく、「パーツ」も個人の好みはしっかり分かれます。

完成車の購入は、買った時からすぐに乗れるようにパーツが組み付けられており不便はありません。
しかし、サドルの色やホイールのカラー、コンポーネントセット(ギアやブレーキセット)のグレードなど、全てが理想的な状態の完成車で売られているのでしょうか?
答えはNOではないでしょうか。

「自分好み」は自分で選び抜いて初めて得るものなので、一つひとつのパーツを自分で選ぶのが得策だと思います。

オーダーフレームの場合、1からパーツの相談をすることができます。脚力や乗る環境、予算などをお伝えすれば理想的な提案を出してくれたりもします。

デザイン重視で乗りたいのであれば、スポーク(車輪に張っている針金線)のカラーを白くしたい!や、サドルはビンテージ風のレザーで!などの相談も可能です。

「互換性」にご用心!

注意が一つあります。
パーツ選びは、フレーム製作の前にある程度決めておくことが重要です。
理由はフレームとパーツの「互換性」です。

車輪の軸(ハブ)を例に挙げますが、現状売られているもので軸幅が多岐にわたり展開されています。
110mm、120mm、130mm、135mm、142mm、148mm、、、。この他にもまだまだ種類があります。

フレームに搭載する車軸が決まらないとフレーム設計を決めにくくなってしまいます。110mm用のフレームには148mmの車輪を組み付けることは難しいです。

このようなフレームとパーツの「互換性」はその他パーツでも気にしなければいけません。

つまり、売られている全てのパーツが組み付けられるわけではないのです。

パーツに詳しい方でしたら問題ないのですが、初心者の方がいきなり自力でパーツを揃えるのはあまりオススメしません。「買ったのに組み付けられなかった。」 は、よく聞く話なのです。

オーダーフレームを注文する際にはビルダーさんに理想を伝えて、パーツアッセンブルはお任せすることをオススメします。

オーダーフレームの魅力 まとめ

「サイズ」「素材」「カラー」「パーツ」 今回は4つの視点からオーダーフレームの魅力をお伝えしてきました。

市販されている完成車のレベルは年々向上しているように思います。
一昔前よりもユーザー層が広がり、最近ではE-バイクなどの新提案自転車も販売されています。

それと同時に、自転車に愛着を持つ方も増えてきていますね。
量産最盛期の「自転車は消耗品」という感覚はすでに時代遅れなのでしょう。

オーダーフレームの自転車は、「モノを大事にする」愛着に直結する商品なのではないでしょうか。

「自分だけのサイズ」
「自分の乗り方に合わせた素材」
「他にないお気に入りのカラー」
「妥協なく選ぶパーツ」

愛着が湧く要素が詰まっているオーダーフレームの自転車。

量産品と比べたら価格は高いです。
しかし、他商品と比べるのではなく、「価値の対価」として考えたらリーズナブルなのではないでしょうか。

ビルダーさんに相談すると、もっと自分だけが感じられる「価値」を見つけられるはずです。ぜひ足を運んで宝物探しをしてみましょう!

宝物は自分から探しに行かないと発見できないものですからね。

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